社会保険労務士の合格基準と足切りとは?選択式・択一式の仕組みを解説
試験センターと厚生労働省の公式情報をもとに、 総得点と科目別基準の仕組み、 年度ごとに基準点が変わる理由を整理します。
社会保険労務士試験は、 選択式・択一式それぞれについて 「総得点」と「科目ごとの基準点」の両方 を満たす必要があります。
どれか一つでも基準点に達しなければ不合格です。 ただし、実際の合格基準点は年度ごとに補正され、 合格発表日に公表されます。
社労士試験でよく使われる 「足切り」という言葉は、 科目ごとの合格基準点を下回ることを指して 一般に使われています。
試験センターの公式説明では、 選択式・択一式それぞれについて、 総得点と科目ごとに合格基準点を設定する とされています。
つまり、 総得点だけを見て合否を判断する試験ではありません。
2026年度(第58回)の合格基準と合格率
試験は 2026年8月23日(日) に実施済みです。
合格発表は2026年10月1日(木)に行われ、選択式25点以上・択一式47点以上の総得点基準が公表されました。受験者42,510人、合格者3,961人、合格率は9.3%です。
第58回の選択式は総得点25点以上、原則各科目3点以上ですが、雇用保険法は2点以上です。択一式は総得点47点以上、全科目4点以上です。いずれも総得点と各科目の基準を満たす必要があります。
試験は選択式40点・択一式70点
| 項目 | 選択式 | 択一式 |
|---|---|---|
| 科目数 | 8科目 | 7科目 |
| 問題・配点 | 各科目1問・5点 合計40点 |
各科目10問・10点 合計70点 |
| 試験時間 | 80分 | 210分 |
| 合否判定 | 総得点+各科目基準 | 総得点+各科目基準 |
選択式と択一式のどちらか一方だけ 基準を満たしても合格にはなりません。
選択式は8科目・40点
選択式は8科目で、 各科目5点満点、 合計40点です。
文章中の空欄について、 提示された選択肢から 適切な語句や数字等を選んで解答します。
| 選択式の科目 | 配点 |
|---|---|
| 労働基準法及び労働安全衛生法 | 5点 |
| 労働者災害補償保険法 | 5点 |
| 雇用保険法 | 5点 |
| 労務管理その他の労働に関する一般常識 | 5点 |
| 社会保険に関する一般常識 | 5点 |
| 健康保険法 | 5点 |
| 厚生年金保険法 | 5点 |
| 国民年金法 | 5点 |
選択式では 「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」からの出題はありません。
択一式は7科目・70点
択一式は7科目、 各10問・10点満点で、 合計70点です。
| 択一式の科目 | 配点 |
|---|---|
| 労働基準法及び労働安全衛生法 | 10点 |
| 労働者災害補償保険法+徴収法 | 10点 |
| 雇用保険法+徴収法 | 10点 |
| 労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識 | 10点 |
| 健康保険法 | 10点 |
| 厚生年金保険法 | 10点 |
| 国民年金法 | 10点 |
労災保険法・雇用保険法の各10問には、 徴収法の問題も含まれます。
基本となる基準は「28・3/49・4」
厚生労働省が公表している 「社会保険労務士試験の合格基準の考え方」では、 基本となる基準は次のように設定されています。
| 試験 | 総得点の基本基準 | 科目別の基本基準 |
|---|---|---|
| 選択式 | 28点以上/40点 | 各科目3点以上/5点 |
| 択一式 | 49点以上/70点 | 各科目4点以上/10点 |
試験問題の難易度差を調整するため、 総得点・科目別基準は 各年度の平均点や得点分布等をもとに補正されます。
なぜ年度によって合格基準が変わる?
厚生労働省は、 年度ごとの試験問題の難易度差を調整し、 試験水準を一定に保つために 合格基準を補正すると説明しています。
受験者の間で こうした科目別基準の引き下げを 「救済」と呼ぶことがありますが、 公式制度名ではありません。
2025年度を見ると年度補正が分かりやすい
参考として、 2025年度(第57回)の実際の合格基準は次のとおりでした。
| 試験 | 2025年度総得点 | 2025年度科目別基準 |
|---|---|---|
| 選択式 | 22点以上 |
原則3点以上。 労災保険法、労働一般常識、社会保険一般常識は2点以上 |
| 択一式 | 42点以上 |
原則4点以上。 雇用保険法は3点以上 |
このように、 「基本基準=その年の確定基準」 ではありません。
2026年度は選択式25点以上(雇用保険法のみ2点以上、他科目3点以上)、択一式47点以上(全科目4点以上)でした。前年度とは総得点・科目別基準とも異なります。
「足切り」の考え方
たとえば、 選択式の総得点が高くても、 ある科目がその年度の科目別基準を下回れば 合格条件を満たしません。
同様に択一式でも、 総得点だけではなく 各科目の基準点を満たす必要があります。
- 選択式の総得点基準を満たしているか
- 選択式の各科目基準を満たしているか
- 択一式の総得点基準を満たしているか
- 択一式の各科目基準を満たしているか
4つすべてを確認する必要があります。
学習時は「基本基準」を合否予測に使わない
選択式3点、 択一式4点という基本基準は、 科目ごとの学習状況を確認する際の参考にはできます。
ただし、 資格ブートキャンプの問題で 「3/5取れた」 「4/10取れた」からといって、 本試験で基準を満たせると直接判断することはできません。
資格ブートキャンプの問題は 独自に作成した学習用問題です。 本試験の出題内容・難易度と同一ではありません。
選択式対策は「語句を書けるか」ではなく文脈で選べるか確認する
社労士試験の選択式は、空欄に適切な語句や数字を自分で書き込む方式ではありません。
実際には、 提示された選択肢から 空欄に当てはまるものを選択します。
ただし、 似た語句・数字が並ぶ場合があるため、 単語だけではなく 制度の対象・要件・期間・例外などを理解しておく必要があります。
- どの制度についての文章か
- 誰が対象なのか
- 数字は何の期間・率・年齢なのか
- 原則なのか例外なのか
- 似た制度との違いは何か
択一式対策は誤った選択肢の理由まで確認する
択一式では、 正解した問題でも 根拠が曖昧な場合があります。
選択肢の正誤理由を確認し、 次のように誤答原因を分けます。
| 誤答原因 | 確認すること |
|---|---|
| 条文・制度を知らない | 該当する制度の基本へ戻る |
| 数字を混同した | 何についての数字かセットで整理する |
| 似た制度を混同した | 対象・要件・効果を比較する |
| 法改正前の知識だった | 受験年度の教材・公式情報で更新する |
| 問題文を読み違えた | 正しい・誤っている等の問い方を確認する |
資格ブートキャンプの問題は弱点確認に使う
資格ブートキャンプでは、 社会保険労務士のWEB問題とPDF教材を公開しています。
いずれも独自に作成した試験対策用問題です。
| 教材 | 利用例 |
|---|---|
| WEB版問題演習 | 科目別に解き、 間違い・迷った問題を確認する |
| PDF教材 | まとまった範囲を解き、 数字・要件・制度の違いを書き込みながら復習する |
2026年度の確定基準と自分の得点を照合する
第58回社会保険労務士試験は2026年10月1日に合格発表が行われました。
厚生労働省が公表した2026年度の確定基準と、自己採点結果を照合してください。科目免除等の適用条件がある場合は個別の案内も確認してください。
- 選択式の総得点が25点以上か確認する
- 選択式は雇用保険法2点以上、その他各科目3点以上か確認する
- 択一式の総得点が47点以上か確認する
- 択一式は全科目4点以上か確認する
- 自己採点結果と公式基準を照合する
よくある質問
参照した公式情報
- 社会保険労務士試験オフィシャルサイト 「試験の概要」
- 社会保険労務士試験オフィシャルサイト 「合格発表」
- 社会保険労務士試験オフィシャルサイト 「第58回社会保険労務士試験 合格発表について」
- 厚生労働省 「社会保険労務士試験の合格基準の考え方について」
- 厚生労働省「第58回社会保険労務士試験の合格者発表」
- 厚生労働省「第58回(令和8年度)社会保険労務士試験の合格基準について」(PDF)
- 厚生労働省 「第57回社会保険労務士試験の合格者発表」
公式情報確認:2026年10月15日。第58回(2026年度)の合格基準・受験者数・合格者数・合格率は、厚生労働省が2026年10月1日に公表した結果と合格基準資料に基づきます。
