社会保険労務士の合格基準と足切りとは?選択式・択一式の仕組みを解説

社会保険労務士・合格基準ガイド

社会保険労務士の合格基準と足切りとは?
選択式・択一式の仕組みを解説

全国社会保険労務士会連合会試験センターの公式情報をもとに、2本立ての足切り構造と試験後に合格基準が変動する仕組みを解説します。

📋 一次情報:全国社会保険労務士会連合会 試験センター

社会保険労務士試験の合格基準は、試験実施後に厚生労働大臣が定めます。年度によって変動します。

試験日:例年8月第4日曜日(令和8年度は2026年8月23日) / 択一式:210分 / 選択式:80分

全国社会保険労務士会連合会 試験センター:試験案内

📋 結論

社労士試験の合格には①選択式の総合点および各科目の基準点(原則3点/8点)②択一式の総合点および各科目の基準点(原則4点/10点)をすべて同時に満たす必要があります。択一式で高得点でも選択式の1科目が足切りに引っかかれば不合格。また合格基準点は年度によって変動するため、事前に固定値として覚えることはできません。

社労士試験の難しさの核心は「択一の総合点を稼ぎながら、選択式の各科目を同時に守る」という2本立ての攻守が同時に要求される合格基準の構造にあります。択一式の演習に偏ると、選択式の穴埋め問題で特定科目の足切りを受けるリスクがあります。

※ 本記事では確認できた公式情報と資格ブートキャンプによる学習上の提案を分けて記載します。合格基準は年度ごとに変動します。受験前に必ず全国社会保険労務士会連合会試験センターの公式情報をご確認ください。

試験構成と合格基準の概要(公式情報)

選択式

選択式試験(80分)

8科目×1問5空欄=計40点満点。各科目の配点は5点(1空欄1点)。
合格基準(原則):総合28点以上かつ各科目3点以上。
科目足切り:各科目5点中3点以上(年度により2点に引き下げる「救済」あり)

択一式

択一式試験(210分)

7科目×10問=計70問(1問1点)。
合格基準(原則):総合49点以上かつ各科目4点以上。
科目足切り:各科目10問中4問以上正解(年度により3点に引き下げる「救済」あり)

※ 合格基準点・総合点の基準値は年度により変動します。上記「原則」は例年の目安であり、当該年度の公式発表値ではありません。

試験種別総合基準(原則)科目別基準(原則)注意点
選択式 28点以上 / 40点 各科目3点以上 / 5点 1科目でも3点未満は不合格(救済年度を除く)
択一式 49点以上 / 70点 各科目4点以上 / 10点 1科目でも4点未満は不合格(救済年度を除く)
合格条件 選択式の全条件かつ択一式の全条件をすべて同時に満たすこと
⚠ 合格基準は年度変動・試験後に発表:合格基準点は試験実施後に厚生労働大臣が定めます。「選択式〇点・択一式〇点以上」という事前の固定値はありません。難易度の高い年度では基準が引き下げられる(救済措置)場合があります。「何点取れば必ず合格」という事前の確定は不可能です。

「救済措置」とは何か——基準が引き下げられる仕組み

「救済措置」は試験センターが定めた公式の名称ではなく、試験後の合格基準発表において基準点が引き下げられるケースを受験者間で呼ぶ慣称です。

📌 救済が発生するケース 当該年度の問題が特に難しく、多くの受験者が特定科目で基準点を下回った場合に、合格基準点が引き下げられることがあります。選択式で「原則3点→2点に引き下げ」というケースが典型です。
⚠ 救済に期待した学習計画は危険 「苦手科目は救済が来るかも」という発想は学習計画として成立しません。救済の有無は試験後の結果次第であり、事前には分かりません。すべての科目を原則基準点以上で安定させることが合格の唯一の手段です。
救済の重要な事実:救済は「基準点が下がれば自動的に合格になる」わけではなく、総合点の基準もすべて同時に満たしている必要があります。「1科目だけ救済で救われて合格」という状況は、その年度の総合点が足りていることが前提です。

資格ブートキャンプ独自整理|選択式で「足切りを受けやすい科目と原因」を知る

選択式は1科目5点中3点以上という基準のため、「2問連続で空欄を外す」だけで足切りになります。択一式で高得点でも選択式の足切りで不合格になる受験者が毎年一定数います。資格ブートキャンプでは、選択式の足切りが発生しやすい原因を科目の性質から次のように整理しています。

📘 労働関係法令(労基法・安衛法・労災・雇用保険)の選択式で足切りを受けやすい原因
  • 「条文を読んだことがある」と「穴埋めで正確に埋められる」は別物——選択式は文脈と正確な用語の記憶が問われる。「労基法第〇条でこういう規定がある」という知識でも、穴埋めで「使用者は、〔A〕を1週間に1日以上…」の〔A〕を確実に埋められないケースが多い。
  • 択一式の演習だけでは選択式に対応できない——択一式(5択から1つを選ぶ)の演習をいくら重ねても、選択式(文中の空欄に正確な用語を入れる)の対策にはなりにくい。選択式専用の演習が必要。
  • 安衛法を「軽視して最後に詰め込む」——労働安全衛生法は出題範囲が広く、一定の学習期間を要する。直前期の詰め込みでは選択式の空欄対応が間に合わない。
📙 社会保険関係法令(健保・年金・国民年金)の選択式で足切りを受けやすい原因
  • 年金科目(厚生年金・国民年金)で「数字・要件が多すぎて整理が追いつかない」——老齢・障害・遺族の3種類×受給要件×計算方法という組み合わせが複雑。似た数字・要件の混同が選択式の空欄で致命的になる。一覧表で横断整理してから演習に入ることが必要。
  • 健康保険で「給付の種類と計算方法」が曖昧なまま択一演習に進む——傷病手当金・出産手当金・高額療養費など給付の名称・計算式・支給要件をごちゃ混ぜにしやすい。選択式では「支給期間は〔A〕日を限度として」のように数字で問われる。
  • 「改正が多い科目」を古い教材のまま学習する——年金・健保は法令改正が多い分野。最新の改正内容で変わった数字・要件が選択式で問われるため、最新年度のテキストを使わないと得点できない問題が出やすい。

選択式の対策は「択一演習の量を増やす」では解決しません。WEB版問題演習で選択式の空欄補充問題を科目ごとに解き、「どの科目のどの用語・数字が埋められないか」を特定してから参考書の該当箇所を確認するサイクルが、選択式足切り回避の最も実用的な対策です。

択一式と選択式の関係——「両方で守る」学習設計

⚠ よくある失敗パターン
  • 択一式の過去問演習ばかりで選択式の演習が手薄
  • 選択式は「運次第」と割り切って対策しない
  • 得意科目を重点的に学習して苦手科目を後回し
  • 救済に期待して安衛法・社一をほぼ学習しない
✅ 合格に向けた学習設計
  • 択一演習と選択式演習を週単位で両方回す
  • 選択式は「穴埋めで埋められるか」を演習で確認する
  • 全科目を「原則基準点以上に安定させる」ことを目標にする
  • 改正法令は受験年度の最新情報で確認する

足切りパターンの具体例(参考)

状況択一式選択式(例:年金科目)結果
択一高得点・選択式で1科目足切り 53点(基準超え) 2点(足切り) 不合格
両試験とも基準点を安定して超えている 50点(基準超え) 3点以上(各科目) 合格条件を満たす
選択式総合は問題ないが択一式の1科目が足切り ある科目3点(足切り) 全科目3点以上 不合格

※ 上記の点数は概念説明のための仮の数値です。実際の合格基準は年度変動します。

⚠ 選択式は「運で決まる」ではない:「選択式は運次第」という声がありますが、穴埋め問題で正確な用語・数字を埋められるかは学習の習熟度に比例します。「なんとなく知っている」では埋められず、「条文を正確に理解して用語を使える」状態になることが選択式対策の本質です。

演習の進め方——選択式と択一式を並行して回す

  1. WEB版問題演習で全科目の択一式問題を横断して解き、正答率の低い科目を特定する

    「どの科目が基準点(4点以上/10問)に届いていないか」を最初に数値で把握します。

  2. 選択式専用の演習で「穴埋めで埋められない用語・数字」を特定する

    択一演習とは別に、選択式形式の問題を科目ごとに解きます。「選べるが埋められない」用語をリストアップして参考書の該当条文に戻ります。

  3. 年金・健保の数字・要件を一覧表で横断整理する

    老齢年金・障害年金・遺族年金の受給要件・計算式・支給期間を一表にまとめます。似た数字の混同は横断整理でなければ防げません。

  4. 改正法令の最新情報を受験年度のテキスト・官公庁の公式情報で確認する

    年金・健保・雇用保険は法改正が多い分野です。古い教材の数字・要件は最新の改正で変わっている可能性があります。

  5. PDF問題集で択一式・選択式の総合演習を行う

    本番と同じ形式(択一式210分・選択式80分)で通して解く演習を直前期に最低1回行い、時間配分の感覚を確認します。

✅ 受験日直前の確認チェックリスト
  • 択一式の全科目で正答率が40%(4点/10問)以上を安定して超えているか
  • 選択式の全科目で「空欄に正確な用語・数字を埋められるか」を演習で確認したか
  • 年金・健保・雇用保険の数字・要件を最新テキストで確認したか
  • 択一式と選択式の両方の演習を週単位で回せているか
  • 受験年度の合格基準は試験後に発表されることを理解しているか

よくある質問(FAQ)

合格基準は毎年同じですか?
いいえ。社労士試験の合格基準は試験後に厚生労働大臣が定め、毎年度変動します。選択式・択一式それぞれの総合点と各科目の基準点が年度ごとに発表されます。「何点以上で必ず合格」という事前の確定値はありません。受験する年度の公式発表をご確認ください。
選択式で特定の科目だけ2点の場合、どうなりますか?
原則として、選択式では各科目3点以上が合格基準です。1科目でも3点未満(2点以下)の場合は、当該年度に当該科目の基準点が引き下げられる(いわゆる「救済」)がない限り不合格になります。救済の有無は試験後の公式発表まで分かりません。
択一式の演習だけで合格できますか?
択一式の演習だけでは選択式の足切りを防げない可能性があります。選択式は「5択から正解を選ぶ」のではなく「空欄に正確な用語・数字を記入する」形式のため、択一演習で身につく知識と選択式で問われる知識は対応しません。選択式専用の演習を別途行うことが必要です。
合格率はどのくらいですか?
合格率は年度によって変動します。最新の合格率は全国社会保険労務士会連合会試験センターの公式サイトで確認できます。一般的に難関資格として位置づけられており、合格率は一桁台のことが多いですが、年度によって異なります。
社労士と行政書士を同時に学習するのは可能ですか?
可能ですが、どちらも学習量が多く、社労士試験の選択式・択一式の両方の対策を十分に行いながら行政書士の学習時間も確保することは、学習期間・1日の確保時間によって現実的かどうかが変わります。社労士は例年8月試験・行政書士は11月試験のため、時期は重なりません。受験計画は「1つずつ集中する」か「年度をずらす」かを検討することをおすすめします。

参照した一次情報

主な確認先(2026年9月10日確認)

公式情報確認日:2026年9月10日。合格基準・試験日程・受験料・出題範囲等は年度ごとに変動・変更される場合があります。受験前に必ず全国社会保険労務士会連合会試験センターの公式情報をご確認ください。

社労士の学習を今日から始めよう

まずWEB版問題演習で全科目の択一式の正答率を確認し、選択式の空欄が埋められない科目を特定することから始めましょう。

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